ママさんは私の髪を解かしながら

「そーちゃんね。小さい頃から全然欲が無かったの。」

いきなり爽の昔話が始まった

「でもね。高校にはいる前にこいつと結婚したいって言い出したの!」

へーそんな歴史が…
「それが直ちゃんだったのよ」

「私もダーリンも、初めて爽から望んで来たから嬉しくって嬉しくって。無理矢理許婚って形にしちゃったの。ごめんなさいね。」

そうだったんだ…。

「私最初は嫌でしたけど…今では大好きなので、謝らないでください。」

「直ちゃんが爽の好きな人でよかったわ。」


と、鏡ごしに私を見つめ微笑むママさん。

私も笑顔になる

「早く孫の顔が見たいわ〜」
「まっ孫!?」

ふふふっと笑うママさん

うわー本気だー…。


「はいっ完成!」

すごーいっ可愛い!

髪の毛くるくるでてっぺんでおだんご!


「はいっ外にそーちゃんいるから見せておいで」

言われた通り外に出ると
スーツ着た人はいるけど爽がいない

「爽〜?」

いないなぁ

「俺ですけど」

「えっ?」

その人を見上げると…
爽だ…

髪をワックスでくしゃくしゃにしてあって黒い眼鏡して。
「かっこぃぃ」
自然と零れた。

「知ってる。」