最後に交わした言葉。 最後に見た笑顔。 結局私の片思いはあの卒業式の日に伝えられずに終わってしまった。 そのはずなのに、まだ胸の奥でふとした瞬間しこりを感じる。 吐く息は白くて、もうあれから何度目か分からない冬が終わる。 そしたら、心を置き去りにしたままの春がまたやってくる。 その繰り返し。 ピューと吹く北風に身を縮めた。 「さむっ」 人ごみの中でも風が隙間をぬってやってくる。 すれ違う人も身を縮めていた。