「・・・もう8時かぁ。今からダッシュで学校行けば間に合うよね。」

学校かー…一ヶ月ぶりかな?行くの。

一年前の今日の事
一生忘れることができない。


私の目の前で夕也は亡くなった。
その時まで笑っていた夕也…。


「…つらっ…。」


「…あれぇ?くれいちゃん?」

ポニーテールで白いマフラーをしている女の子が
いつのまにか立ち止まっていた私の顔をのぞきながらそう言った。

「わあぁあっ!久しぶりっ!」

ビックリして思わず声が裏返る。

「…んもぉ!今までどこ行ってたの!なー心配したんだからっ!」

彼女は富田ななみ。私の唯一の友達。キャラからして大人数で行動してそうって
よく言われるけど、全然そんなことなくて、というか、ななみで充分。

「ゴメンゴメン!…か、風邪だよっ風邪!」

「…夕也でしょ?」

さすが。

「……。」

なーちゃんのメールの返事も電話のかけなおしも一切しなかったのに、なーちゃんにはやっぱり分かってた。

嘘をついても、強がっても。

「はぁ…よかったぁ。なー、くれいちゃん居なくて寂しかったよぉ!もー早く学校行こぉ。」


なーちゃんは泣きそうになりながら
私の手をひいて、一緒に学校へ向かった。


何も…聞かないんだ…。