男子達に連れて行かれた飛夏羽は、公園に居た。

「…榊君達…なの?」

 飛夏羽は恐る恐る顔を上げて男子達を見た。

「うん、そうだよ。飛夏羽ちゃん…今暇だろ?遊ぼうぜ。」
「暇なんかじゃない。帰りたいの。」

 翔太の問いに対して、飛夏羽は目を逸らして反抗した。

「あれ?帰る場所なんて無いんじゃないの?」
「…え?」

 飛夏羽は目を見開いて翔太を見た。

「帰っても誰も居ないんだろ?そんなところ、帰っても仕方無いだろ。あ、それ
とも千葉の所にでも行く気?」
「何で優都が関係するの?それに、何で榊君達は優都を苛めるの?」

 飛夏羽の言葉を聞いて、全員が大声で笑い出した。

「それはね、君が千葉に近づいているからだよ。」
「…私が?」

 飛夏羽は頭の中が真っ白になった。

 自分のせいで、大切な幼馴染が苛められていたのだ。

 サブリーダーの橋口 竜牙はバケツに水を汲み、それを飛夏羽の頭から被せ
た。

「…うっ…」
「本当に最高だよ…飛夏羽ちゃんって。やれ、お前等。」

 翔太の命令で、全員が飛夏羽を遊び始めた。
ただ飛夏羽は我慢し続けていた。

 優都の事を思い、胸が張り裂けそうにまでなったのだ。

 それから約30分経った。

 全員息を切らしながら飛夏羽を見ていた。

 飛夏羽の制服はボロボロになり、体中は水で濡れ切っていた。
何があったか思い出せないほどの恐怖。

 だが、それよりも飛夏羽の頭の中は優都の事だけでいっぱいだった。