優都は翔太に引き摺られ、飛夏羽と同じ体育館倉庫へと放り込まれた。

「じゃあな、千葉。」

 翔太は鍵を閉めて出て行った。

「…いててて…ん?飛夏羽?」

 優都が顔を上げたその先には、寝息をたてて静かに眠る飛夏羽の姿があった。
優都は無我夢中で飛夏羽に駆け寄り、飛夏羽の肩を揺すった。

「お、おい!飛夏羽!しっかりしろよ!おい!」
「…う…ん…」

 飛夏羽は優都に揺すられて、ようやく目を覚ました。
優都を見ると顔を赤らめて優都を見つめ返した。

「優都…何でここに?私は…榊君たちに…」
「俺も…」
「そうだったんだね…頭…大丈夫だった?痛くない?」

 飛夏羽は心配そうに優都の目を見つめた。

「俺は大丈夫だよ。」
「良かった…ごめんね…私…」

 優都は首を振って飛夏羽の口を塞いだ。

「それ以上何も言わなくて良いから。とりあえずここから出る事を考えよう。」

 飛夏羽は頷いた。

「…でもさ…」

 飛夏羽の涙声を聞いて優都は急いで振り向いた。

「…如何したの?」
「私のせいでこんなに人が不幸になってるのに…私…生きてても仕方ないんじゃ
ないかな…」

 飛夏羽は自分の存在理由を悔やみ、怒りと悲しみを織り交ぜながら泣き始め
た。

「そんな事無いよ!そんな事…絶対無いから!飛夏羽が死んで悲しむ人はいっぱ
いいるんだよ?」
「優都…」
「飛夏羽…泣くなよ。後で今までの分全部…俺が受け止めてやるからさ。」
「…本当?」

 飛夏羽は泣きじゃくりながら優都を見つめた。

 優都は頷いて飛夏羽を立ち上がらせた。

「…出よう。」
「…うん。」