フラフラと寄り道をしないで家に帰ると、もう夏木君が帰っていた。


あたしに気付いた夏木君は、おぅ…と声をかけてくれた。


『あの…お弁当ありがとう。
美味しかった。』


「あぁ…。」


…沈黙………。


やっぱり、なんとなく気まずい空気はまだ解消されていないようだ。


『…ねぇっ、今日夏木君速かったね!』


思い切って話しかけると、夏木君の顔がこちらを見る。


「別にたいした事ねぇよ。
…お前だって速かったじゃん。」


少し目を細めて笑ってくれた夏木君の顔に、泣きそうになる。