紗耶香の家は、家族が全員帰宅するまで、留守の時以外は鍵をしない。


紗耶香の家に着き、酔っ払ってる紗耶香の両親に許可を得て、俺は真っ直ぐ紗耶香の部屋に向かった。



『紗耶香っ!!』


勢い良く紗耶香の部屋のドアを開けたけど、中は真っ暗で誰もいなかった。



ただボコボコとエアポンプの音だけが響いている。


エアポンプの入った水槽の中には、俺が去年の夏に紗耶香の為にすくった金魚が2匹泳いでいた。



俺は水槽の前にしゃがんで、泳いでいる金魚を眺めた。



水槽の中にいる金魚は、もっと広い場所で泳ぎたいと思っているのかな…?