『そんなんじゃないし』


俺は隼人くんの攻撃を避けながら答えた。



『紗耶香にオトコが出来たかと思えば、直希もかよ〜』


『………違うし』



隼人くんはあんまり人の話を聞かない。


俺がいくら否定しても、冷やかすような言葉をひたすら吹っ掛けてくる。



だから、俺は適当に聞き流していた。



けど、隼人くんがふと思い出したかのように言った言葉は、聞き流す事が出来なかった。



『そーいや、花火始まる前、紗耶香泣いてたんだけど、何でか知ってる?』