その日の夜、俺の部屋に来た紗耶香は、


『明後日は花火大会だねっ!!』


と笑顔で俺に言って来た。



濱口先輩はまだ紗耶香を花火大会に誘ってないのか。


何も知らない紗耶香は、今年も俺の家族と紗耶香の家族で過ごす気でいる。



『そーだな』


俺は少し遠くを見て答えた。



横で紗耶香がきょとんとした顔で見ている。






―『紗耶香、花火好きだし、喜ぶと思いますっ』



俺ってバカだな。


先輩を応援する側に立っちゃったよ。






『花火始まる前に、一緒に買い出し行こうね☆』


無邪気に笑う紗耶香を見てるのが、やけに辛かった。