紗耶香が濱口先輩と付き合いだして1ヶ月が経った頃。


夏休みの真っ最中。



学校は休みでもバスケ部の活動はある。


昼の休憩時間になると、紗耶香は濱口先輩と俺に差し入れを届けに来る。



『はいっなおくんお茶☆』


紗耶香はいつものように、500mlペットボトルに入ったお茶を2本俺に差し出した。



俺はガキの頃から水分ばっかとってて、出掛ける時もだいたい片手にペットボトルを持ってぷらぷらと歩く。


紗耶香はそんな俺をよく知ってる。


それから、市販のペットボトルのお茶じゃなくて、家で沸かしたお茶が好きな事もよく知ってる。


だから、紗耶香はわざわざ500mlのペットボトル2本に、家で沸かして冷やしたお茶を入れて、持って来てくれるんだ。



『いつもありがとな』

俺は蓋を開けて、1本一気に飲み干した。



『飲むの早過ぎっ』


紗耶香は空になったペットボトルを受け取って笑った。


『明日からは3本持って来なきゃね』