「言ってこいよ」


「え…」


「辻井に言ってこいよ」

「な…言えないよ!」


「言えよ…」


離されない手。


涙は引っ込み、袖で涙の跡を拭う。


「なり…みや?」


「また同じようなことがあって、今度は辻井が傷つくって可能性もあるぞ?」


「何で先生が傷つくのさ?」


「伸ばした手をいきなりはねのけられたりしたら、誰だって傷つくだろ?知ってるのと知らないのとじゃ違う、どうしたらいいかって二人で考えろよ」


「う…ん…。そうだね」