「ここは次のテストに出すぞー」


バチンと目が覚めたように、あたしは我に返った。

またもや恒例の、乙女の妄想にふけりすぎていたらしい。


「零、大丈夫?最近ぼーっとしすぎだよ」


授業が終わって、隣のアキちゃんがこちらを向いた。


「あ、ばれてた?」


「当たり前よ。いつ見ても上の空って感じ」


先生と付き合い始めて、あたしはますます集中力に欠けるようになった。

朝から晩まで、先生のことで頭がいっぱい。


「うーん、いかんなぁ」


「次のテスト、やばいんじゃない?」


と、雄太くん。


「いつからだっけ?テスト」


「そんなことも憶えてないの!」


アキちゃんに怒られながら、あたしはふたりに、テストの日程と出題範囲を教えてもらった。


「でも、これが終われば夏休みだね」


「あんたは呑気ねぇ」


アキちゃんは、こんなあたしを見てため息をついている。


「でもさ――」


雄太くんが、ふと思い出したようにつぶやいた。


「今回の期末、成績悪ければ、親呼び出しで面談らしいよ」


頭の中が真っ白になった。

「――それはまずい!」