「――ということは」


アキがゆっくりと息を吐いた。


「ひとみさんは――教え子だった可能性が高いわけか」


あたしは無言でうなずいた。


久しぶりにお泊まり会でもしようか、と話を持ちかけてきてくれたのはアキだった。

きっと、先生と再会してしまったあたしを気遣ってくれたんだと思う。


「それしか考えられないよねぇ。ひとみさんは、旦那とは高3の時からの付き合いだって言ってたし」


アキといろいろ話して、すべてのパズルがつながった。

あたしと先生が付き合っていたときの、家庭教師の教え子――それが、ひとみ先輩なのだ。


「しっかし、こんな偶然って...ないわ」


「よねぇ〜」


あたしはがっくりと、こうべを垂れた。

あたし自身が一番信じられない。



こんな言い方をするのは嫌だけど――


あたしと先生が別れた一番の原因は、

ひとみ先輩の存在だったと言っても過言ではないはず。



憎き相手が、すぐそばにいたなんて。


「正直、ありえないよね」


あたしは自嘲ぎみに笑った。