「結局――零はどうするの?」


部室に顔を出すと、いつものようにアキがいた。


「零に合わせて、あたしも招待状の返事出そうかと思ってるんだけど――」


アキの手の中にも、やはりひとみ先輩の結婚式の招待状があった。


「うん...」


あたしは悩んでいた。

できることなら、行きたくない。


「しかしまさか、ひとみ先輩の旦那が――零の先生だったなんて」


アキはそうつぶやいたけれど。

今となっては――先生は、もうあたしの先生じゃないよ。


「行きたくないなぁ」


「――だよねぇ」


アキとふたり、大きなため息をついた。


「とりあえず、雄太にはバレないようにしないとね」


あたしも、うん、と大きく縦に首を振った。


「どうにかしないとなぁ」


ほんとうに、頭の痛い問題だった。

今までのひとみ先輩との付き合いもある手前、ふたりして欠席するわけにもいかない。


かといって――あたし以外の女の人の隣で、純白のタキシードを着てる先生は、もっと見たくない。

どんな顔で先生は微笑んでいるのだろう。


「――!」