高校のころは、なかなか先生を忘れることができずに――雄太をずいぶんと待たせてしまった。

大学生になって、ようやく自分の気持ちに踏ん切りがついて、やっと素直に雄太の胸に抱かれることができた。


雄太の腕の中は、あたしにはもったいないくらいに暖かった。


ふたりで何度も季節を重ねていくうちに――

雄太とあたしの間には、強いきずなが生まれていったと思う。



――先生との思い出なんて、もう忘れてしまった。





ひとみ先輩にもらった、結婚式の招待状には――新郎の欄に、先生の名前が書いてあった。


鶴城なんて名字、滅多に聞いたことないから、

あれは間違いなく、あたしの知ってる鶴城彰平なのだろう。



気にならない、と言えば――もちろんうそになる。

その証拠に、ひとみさんからもらった招待状の返事は、いまだに出せていない。

「――はぁ」


頭のいたい問題だった。

ようやく忘れることができたのに――