グラウンドに行くとすでに中井がいた。
目が合う。
「…お前もつくづく大変だな」
「そんな、憐れむような目で見ないでください」
「尊敬に値するぞ」
「…褒め言葉として受け取っておきます」
そして、やっと授業が始まった。
(授業に至るまでが長すぎ)
もちろん、男子がサッカーをやってる横で女子がまじめにスポーツをやるわけもなく。
中井も、担当じゃないので女子が何をしていても怒らない。
というか、気にしない。
…俺は気にするけど。
「槙!がんばってねっ」
さっき泣いていたのがウソのように、すっかり元気になった小夏が駆けよってきた。
「小夏。俺だけ見とけ。間違っても、緒斗の応援なんかすんなよ?」
「うん!槙しか見ないよ!」
よし。
彼女にカッコ悪いところを見せたい男なんていねーだろ。
俺だって、その1人だ。