小夏の友だちはこの光景を見て、本当にめんどくさそうにため息をついて、こっちに歩いてきた。




「小夏、急に走っていかないでよね」

「だって~…」

「そもそも、あんたがアホなこと言うからでしょ」

「…あのさ、小夏が何をしたって?」




話が見えない。


1つわかったのは、泣く原因を作ったのは小夏自身、ということ…?




「一条君…あのね、今日の体育は男女一緒でしょ?男子は外でサッカーやるって言った中井に、小夏が『槙が活躍できないやつにしてください』って言ったの」

「…は?俺?」

「うん。女子も外だからね、サッカーの試合で一条君が活躍してるの見たらみんな好きになっちゃうって思ってるみたい。…それで、中井に『お前はアホか』って怒られて、今の状況」




思わず顔を隠した。

…言っとくけど、嬉しいとか照れたからという理由では全くない。


何恥ずかしいことを言ってくれてんだこいつは!
しかも中井に!


恥ずかしさと若干の怒り。

…そして、少しの悲しみだ。