6月も終わりになって、梅雨のピークは終わってもまだ湿気がこもる。
そこに夏の暑さが加わって“蒸し暑い”という、最悪の状況。
俺は今の時期が1番嫌いだ。
何をするにもうっとおしく感じる。
「緒斗、次って何」
「体育だよ」
「…最悪」
この状況で、体育の中井の熱さはキツい。
だけど1回でもサボれば、確実に単位はとれなくなる。
今年はそんなことするわけにはいかない。
ノロノロと着替えていると、すでに着替えを終わらせていた太一が俺たちのところに来た。
「今日女子と合同だってさ」
「何で?」
「伊坂(イサカ)が出張らしい」
普段は女子が伊坂担当で学校の体育館で、男子は中井担当で、5分ほど走った先にある市営の体育館、と別々にやっている。
「ラッキー♪」と嬉しそうに言う太一。
隣のクラスに太一お気に入りの子がいるからだ。
俺は走らなくてもいいことに安心して、少し気分があがった。