次の日、事情とハルの気持ちを知った小夏はぎゅっとハルを抱きしめた。

気づかなかったことで知らないうちにハルを傷つけていたと思ったんだろうな。


だけど、これはどうしようもないことで。

ハルがまた俺たちのところに走って来てくれたときは、笑って応えればいい。
そう思った。



そして、さらにその日の帰り道。

少し前を歩いていた俺に小夏は嬉しそうにくっついてきた。




「槙っ」

「何だよ」

「あのね、『先輩愛されてますね!』って小春ちゃんに言われちゃった♪」

「よかったな」

「小春ちゃんに告白されて、槙は何て言ったの?」

「………覚えてない」

「え~、ウソでしょ!教えてよ~」

「知らん、忘れた。はい終わり」




…本当は全部覚えてるけど。

本人目の前にしてさすがにあんな言葉言えない。


言わないように、ハルに釘をさしておかないといけないなと思いながら、思い出して若干赤くなる顔を小夏に見られないように帰った。