溺愛ハニー



「どっ、どうしたの!?」




突然崩れた俺を見て、小夏は驚いていた。


こいつは何で俺が座り込んだかなんてわかんねーよな、絶対。

噂もそうだけど、何よりも、本人目の前にしてこいつがはっきりと言ったこと。


『オブラートに包む』とか言う言葉…昔聞いたような気がするけど、俺の記憶違い?

その言葉の存在自体疑ってしまった。



ゆっくりと顔をあげると、15㎝離れて小夏と目が合う。

「近っ」と思って(今思うと、発想女子っぽいな)、またうつむいた。



チャイムが鳴ったけど、気にしていられない。


その時、小夏の右手が少しだけ赤くなってるのが見えた。