「…だから、返してくれ」




放課後、俺は屋上にいた。




「お前が持ってんだろ?…ハル」




――ハルと一緒に。


昨日の放課後、俺が見たのはハルだった。

最初は気のせいだと思ったけど、やっぱり偶然とは思えなくて。


そして、その予想はハルが何も言わないことで確信に変わった。




「何でわざわざ教室まで行って教科書盗むようなことしたんだよ。実は小夏が嫌いだったとか?」

「…違います。私、小夏先輩大好きです」

「じゃあ何で…」

「私はっ」




ハルと視線が重なる。




「イチ先輩も…大好きなんですっ」