…まさか、な。
いや、でも…
まさかと思う反面、だんだんと固まっていく考え。
小夏には言わない方がいいと思った。
きっと、ショックが大きい。
そのとき、チャイムはなっていなかったけど先生が教室に入ってきた。
皆ぞろぞろと席に着いていく。
俺は小夏の手を引いて隣のクラスに行き、小夏を席に座らせた。
たぶん太一が「誰かが盗んだ」なんて言ったからだ。
元気がない。
「小夏、顔あげろ」
声をかけると、うつむいていた小夏が顔をあげて俺を見た。
その頬に触れて、キスをする。
「…俺がどうにかしてやるから」
小夏は小さく頷いただけだった。