「これはもう、あれだな」
太一が確信したように口を開いた。
でも、その言葉は指事語ばかりでわからない。
「どれだよ」
「誰かが小夏の教科書とシャーペンを盗んだ」
「まさか…」
「可能性はなくないだろ」
太一の言うとおりかもしれない。
可能性がないわけじゃない。
いや、仮にそうだとしても、誰が?何のために?
「小夏、なんか心当たりは?」
「何の…」
「誰かに嫌われてます、みたいな心当たり」
「太一君、やだ…そんなこと考えるの」
「まぁそうだよな。でも昨日の昼まではあったんだから、なくなるとしたら午後…放課後まで、か」
――放課後。
太一の言葉に、俺は昨日見た光景が頭に浮かんだ。