小夏がハルの手を握った。
目を伏せているハルに笑顔を向ける。
「あたしでよかった」
「え…?」
「だって、冗談でももらった男の子はきっと悲しいって思うと思うから!」
「…でも、」
「謝らなくていいよ。その代わり…」
「また作ってくれる?」と、小夏は言った。
ハルも笑顔になって、「はい!」と返事をした。
「…すげーじゃん、小夏」
ハルが行ってしまった後、俺は言った。
少し感心したんだ。
今までだったら言わないような言葉を言った小夏に。
「だってあたし先輩だもん♪」
…1回褒めるとすぐ得意げになるのは変わんねーけど。
モヤモヤがなくなってよかった。
やっぱりハルはいい後輩だ。
緒斗や太一が言っていたことも無さそうだったし。
安心してまたハルと関わることができて、平和に過ごせる。
そう、俺は思っていた。