次の日。


昨日のことをハルに話そうか悩んでいた。

でも、わざとじゃなかったら、俺たち(特に小夏)は嫌な先輩になる。


そんなことを考えながら小夏と廊下を歩いていると、




「イチ先輩!小夏先輩!」




ハルの声がした。

ハルはまた走って来たようで、肩が上下している。


落ち着く暇もないまま、ハルは突然頭を下げた。




「あのっ、昨日のクッキーのことで、クラスの男子に冗談で渡そうしたものを、私間違えて小夏先輩に渡しちゃいました。夜になって気づいて…ほんとにすみません!」




――本当は、少しだけ考えていた。


だけど…1度でも、一瞬でも。

わざとなんじゃないかと思ってしまったことを後悔した。


ハルは、こんなにも申し訳なさそうな顔をしているのに。