「…ハル?」
「あのっ、イチ先輩…「槙!」
廊下に響いた声でハルは話すのを止めた。
俺の意識も声の方へと向く。
声の主はもちろん小夏。
一瞬顔を歪めたけど、一緒にいるのがハルだとわかってすぐに笑顔になった。
「何?小夏」
「職員室行ったって聞いたから迎えに来たの!」
「教室で待ってろよ」
「小夏先輩、こんにちは!」
ハルの言葉に小夏は嬉しそうに顔を向ける。
小夏は「先輩」と呼ばれるのがお気に召しているようだ。
まぁ、こんなに純粋に自分のことを先輩と呼んで慕ってくれるなんて、ハルくらいだしな。
「私がイチ先輩を引き止めてたんです。ごめんなさい!」
「小春ちゃんだったら全然いいよ!」
ふと、小夏の視線は俺の手に握られている包みにとまった。
「誰から!?」という怪訝な表情を向けられる俺。
別に隠す必要はないし、「ハルからもらった」と言おうとしたとき、ハルもそんな空気を感じ取ったらしい。
持っていたカバンからまた1つ包みを出した。

