「槙ーっ」
「…待、」
て。
小夏が走ってくるのが見えたけど、今日の俺は反応するのが遅かった。
抱きついてきた彼女を受け止めきれずに後ろに倒れる。
「槙!大丈夫!?」
「…心配するより先に退け、小夏」
なんか去年と同じシチュエーションな気がする。
どうして小夏は“止まる”ということをしないんだ?
今さら聞かないけど。
「んな走らなくても俺はどこも行かねーよ。どうした?」
「またクラス離れちゃった~…」
「……マジかよ…」
立ち上がって、小夏の手を引く。
掲示板の前で背伸びをすると自分の名前が2組のところに書いてあるのが見えた。
小夏は…3組。
3年連続で隣のクラスか。
何ともじれったい。
もういっそのこと同じにしてくれよ、と思った。