「…宮下の進級は一条にかかってる」

「それさっき聞いたし!」




思わずつっこんでしまった。


中井の視線を感じる。

…静かにしよう。
椅子を引いて深く座った。




「進級が危ない生徒に対して、再試験を行う教科がいくつかある。…それで宮下の場合は最低でも60点が必要だ」

「…60って」




それこそ無理だろ。

俺は小夏のテストで、60点どころか45点より上を見たことがない。


しかも、1年生の最後のテストで、3月で定年退職する先生の似顔絵を小夏が答案用紙にかいたら、先生がその絵を気に入っておまけの10点をくれての45点だ。




「そこで、だ。宮下が60点以上取れるように、一条に勉強を見てほしい。その代わりに課題はやらなくてもいい。どうだ?」




佐久間が小さく笑う。


俺は…




「…っ異議あり!」




何かすげーいい案みたいに聞こえるけどさ…

つまり、俺に小夏を押し付けただけだろーが!


こいつら、小夏はもう自分たちの手に負えないと思ったんだな…
(実際そうなのかもしれねーけど!)