職員室の隣にある小さな部屋で数学を教えてもらっている。
本当は担任でもある佐久間に「話がある」と言われて来たけど、面倒な内容だってことはすぐに分かったので、佐久間が話を切り出す前に俺は数学のノートを机にひろげたというわけだ。
30分ほどがたって、ドアをノックする音がした。
「失礼します」
開いたドアの向こう側には、隣のクラスの担任の中井が立っていた。
…実はこの部屋、生徒の間では『説教部屋』と呼ばれている。
先生にもよるけど、ここに連れてこられた奴はほぼ100%説教されるから。
佐久間が個人的に呼び出しをすることなんて滅多になくて、だから俺はなんとなく察したんだ。
ただ、理由は全くわかんねーんだけど。