溺愛ハニー



「槙のウソつき!」




俺が受け取らなかったから、不特定多数の女子が「食べてね!」と言って、机の上に置いて行ったチョコレート達。

放課後になって教室に来た小夏がそれを見て今の状況に至る。




「約束したのにっ…」

「…そうだな」

「昼休みだって会いたかったんだもん…」

「ごめん、小夏」




昼休みは教室から出ることすらできなかった。


小夏に悲しい思いさせてるのに、それでも、悪いのは俺じゃないって思ってる俺はひどいのか…?




「…俺も小夏に会いたかった」

「ほんとに?」

「だって俺小夏好きだし」

「っ…あたしも大好き!」

「……だから許せ、小夏」

「うん!」




…案外簡単に許してくれるんだな。
いや、それでこそ小夏だ。

時々、…本当に時々。
こんなことがあれば、ちゃんと言ってやろう。


ホッとしていると、俺の腕を小夏が掴んだ。