「何て書いてあったー?」
「…『いつまでも超かわいいイチでいてね!莉緒』だってさ」
「超、とか勝手に付け足すなよ」
興味津々に近づいてきた太一に、緒斗が応えた。
しかも、緒斗のせいでクラス中に知られちまったじゃねーか。
笑ってんなよ。
くそっ…莉緒の奴…
紙切れ(こんなの手紙でも何でもない)を握り潰した。
…俺はバレンタインデー限定でアイツが嫌いになる。
中学のときに同じクラスで、今頃の時期に隣の席になったのが元々のきっかけだろうと思うんだけど。
仲良くなったのがいけなかったんだ。
普段は普通にいい奴だから、俺は全くその事を忘れてしまう。
毎年上達している素晴らしい演技力も、今日に限ってはむかつくものでしかない(いつもは演劇部の期待の星として尊敬されているし、俺もすごいと思っている)。

