「んで、何の用?」

「やだなー今日バレンタインデーだよ?わかってるくせに!」




わかってるけど。

だからこそ、にっこりと笑って俺を見ているこの女にイラついてしょうがない。


そして、案の定俺にキレイにラッピングされた包みを差し出した。


…正確に言うと“押し付けた”。




「まさかコレ…」

「そのまさかだよ。じゃあね!」

「ちょっ…待て!」




莉緒はすぐに教室を出て行こうとしたので俺は咄嗟に椅子から立ち上がって、少し追いかけてその腕を掴んだ。


教室の入口、ドアの所という教室の中からも外からも見えやすい場所で立ち止まった俺たち。

押し付けられた包みを俺よりも15㎝高い莉緒の目の前につき出した。