「さっきは嫌いって言ってたのに?」
「なってない!ずっと好きだもん!」
まあ、知ってるけど。
小夏が叫んだおかげで教室にいる奴らに注目されてるけど、本人気づいてないからいいか。
すっげー笑顔でキスしたくなった。
でも、もう少しガマンしよう。
機嫌も良くなったみたいだし、1つだけ言っておくべきことを言う。
俺は机の上にチョコをドンと置いた。
「小夏。はっきり言うけど、俺はチョコレートが嫌いだ」
「えっ…そんなぁ~…」
「でも、お前のだけは食う。だから次も必ず作れよ」
「来年も…」
「何?来年は俺以外の奴にあげるつもり?」
「っ、違う!ずっと槙だけだよ!」
「当たり前だろ。あ、来年は小さくていいからな?てか、小さくしてくれ」
「うん!」
もう来年の話かよ、と思うかもしれない。
でも、そうやって少しずつ未来の話をしていくことで、それが積み重なって“ずっと”とか、もっと言うと“永遠”とか言う言葉が現実になっていくような気がする。
目の前のコイツは俺がこんなこと思ってるなんて知るはずもないだろう。
小夏の頬にそっと触れるとくすぐったそうにしたけど、嬉しそうに笑った。