「槙…もしかしてそれ全部1人で食べるつもり?」
太一がおそるおそる俺に言った。
太一、そういうのは“愚問”だ。
「当たり前だろ」
「ちょっ、それはいくら何でもムリじゃね?」
「無理したらダメだよ、槙」
「無理なんかじゃねーし」
「いや、ムリ!危ないって!」
「っ、ねぇ!」
俺らが言い合いをしていると小夏の声が響いた。
…やべ、小夏の存在ちょっと忘れてた。
今の俺らの会話…じゃなくて、太一と緒斗の言葉…普通に失礼だな。
小夏は瞳に涙を浮かべてる。
「何よ!槙も太一くんも緒斗くんも…そんな言い方しなくてもいいでしょ!?」
「…え、俺も?」
「いやぁ、その~…」
「そんなにイヤなら食べなくていいんだから!槙のバカ!大っ嫌い!」
そう言い残して小夏は走って行った。
あ、でもチョコは置いて行くんだな。