「小夏」
「っ…まき~…」
俺が呼ぶと、小夏は抱きついてきた。
「…ついていくなって言っただろ」
「…ごめんなさぃ…」
「ここで何してた?」
「この前のテストやばかったねって話してたの…」
「…あっそ」
まぁ、何もされてないならいいか。
涙目の小夏に免じて許してやろう。
落ちたマフラーを拾って小夏にかけてやった。
アイツら、こんな寒い中小夏を連れ出しやがって…校内で会ったらもう一発やってやろーか。
「帰るぞ」
「うん…」
「小夏。……手、」
左手を出せば、嬉しそうに右手を重ねてくっついてくる。
今日みたいなことは出来るだけあってほしくないけど。
…つーか、これで最後にしてほしいけど。
小夏はずっと俺が守ってやるからいいか、と思った。
もちろん、こんな言葉も小夏には秘密。

