俺の手のひらにあるボタンをハルはなかなか受け取ろうとしない。 小夏がいる手前、遠慮してるのかどうかはわからないけど。 「あたしもボタンほしい!」 「お前には俺がいるだろーが」 介入してくる小夏を片手で制しながらハルと向き合う。 ハルは胸の前で気持ちを抑えるかのように、両手をギュッと握りしめていた。 「ハル…前に言ったよな?俺のこと『ずるい』って」 「…あのときは、」 「結局さ、俺はハルにずるいことしかしてないんだ」