「小夏…」 「槙はあたしのこと好き?」 「……好きだけど」 「じゃあお嫁さんにしてよ…」 …何だ? さっきとはうってかわって弱気な口調に、驚きを通り越して戸惑った。 「イチ、逆プロポーズじゃん!」 「うるせー邪魔すんな」 からかうギャラリーを睨むとすぐに静かになる。 周りも気にせず俺に抱きついて離れない。 小夏に目をやった。 小夏はいつだって本気だ。 でも、今日はその本気のトーンが違う。 違和感を覚えた。