「あたし教室戻るね?」
「おう」
一緒にきた朝、小夏はチャイムが鳴るギリギリまで俺のクラスで、俺の隣の席のいすに座って話していく。
小夏の言葉に返事をした後に、ふと視線を感じた。
「…何だよ」
「槙…チューして?」
「無理」
「え~…」
「ならお前がしてみろ」
(朝だけど)眠気を感じていた俺は、少しぶっきらぼうに言った。
でも小夏にそんなことは通じないのか。
次の瞬間、頬に違和感。
ほぼ同時に教室内がどよめいた。
「また昼休みに来るね!」
小夏は少し赤くなりながら、教室からバタバタと走って出ていった。
…つーか、ほんとにしたし。
さすがの小夏でも人前ではココが限界か。
「朝から見せつけるね、槙は」
緒斗が隣で言ったことに、俺は前を向いたまま小さく笑った。