「俺にどうしろって?」

「槙の『好き』が欲しい」

「んなもん分かれよ」

「やだ…聞きたい」




あ、わがまま。


…いや、わがままか?

バカな小夏に「分かれよ」なんて、俺のがよっぽどわがままかも。


俺はため息をついた。




「小夏さ、ほんと俺のこと好きだな」

「…違うもん。大好きなの!」




俺の制服の裾を握って。

しかも、目に涙を溜めながら。
小夏はまっすぐに俺を見た。


コイツ可愛すぎ。


…でも、足りない。

小夏の『大好き』じゃ足りねーんだよ。


釣り合わないから。
俺と小夏の気持ちが。