「槙大丈夫?」
「まあ、な」
小さく咳き込む俺に小夏はやっと放してくれて、心配そうに声をかけてきた。
けっこう危なかった、とは言わないでおこう。
「つーか、来んなって言っただろ」
「『来んな』って言われたら、行きたくなっちゃうのが人間なんだよって依ちゃんが言ってた!」
「あたしのせいにしないでよね小夏!あんたが『来んなって言われた~』とか言って泣いてたからでしょ!」
まあ、小夏が来ないわけがないとは思ってたから別にいいけど。
なんかすげー疲れた。
まだ午後もあるし、明日だって来る人は多いのに。
最終的にやると言ったのは俺だけど、言わなきゃよかったとほんの少し後悔した。