文化祭当日。

10時に始まった1日目。
俺のクラスの前には、すでに大行列ができていた。


1位になるためには好スタートだろう。

真っ白な布が張られた教室の半分くらいの広さのスペースの中でイスに座る俺(もちろん例の格好)は、1人でニヤけそうになるのを抑えるのに必死だった。



―…足音がする。
最初の客だ。

俺はイスに深く座り直した。




「何?ここ」

「あ、見て!」




女子2人が俺に近づく。

俺は無表情で動かないようにしていたけれど、女の子が正面に立ったのを見計らって…ニコリ、と笑った。




「キャー!動いたよ!」




…そりゃ動くだろ。

人形“役”ってだけなんだからな。