「はぁ…」

「恋の悩みか、槙」

「小夏ちゃんのことでしょ?」

「…まあ、な」




教室でぼんやりと考えていたら、隣の席の緒斗は目の前で、太一は緒斗の席に座っていた。


2人に今「違う」と言ってもバレていることなので、正直に言葉を返す。




「もう小夏ちゃんに言った方がいいんじゃない?」

「篠崎のことをか?」

「でなきゃ小夏は絶対気づかないと思うぞ」




緒斗と太一の意見はもっともだ。


それがこのイライラを解消する1番の方法だって、わかってはいるんだけど…

小夏の反応はどうだろう。


アイツの中では篠崎はいい人と認識されている。
俺の言葉を信じてくれるのか?


…小夏を疑うのは間違ってる。
信じてないわけじゃない。

自分でも分かんなくなって、机に伏せてため息をついた。




「…槙、」




その時だった。


太一に呼ばれて顔を上げた俺の視界に篠崎が映ったのは。