「右手、血出てる」
「えっ?あっほんとだ!痛~い!」
え、今さら?
天然なのかただバカなだけなのか…
そんなことを思っていると、小夏はポケットからばんそうこうをだした。
「これね、『何もないところでも小夏は絶対に転んでケガするから』って友だちがくれたんだよ」
「へぇ…持っててよかったじゃん」
てか、その友だちすげーな。
当たってるし。
今だってほんとに何もない渡り廊下で転んでた。
んで、立て掛けてあったベニヤ板を引っかけた感じ。
小夏を見ると、左手で右手にばんそうこうを貼るのはやりにくいらしく、もたついていた。
「貸せよ。貼ってやるから」
そう言ってばんそうこうを貼ってやると、小夏は嬉しそうに俺を見上げた。