「レイナちゃん、ありがとう」 そう言って、オジサンはホテルを出てからあたしに一万円札を何枚か渡した。 《レイナ》 あたしの名前なんかじゃない。 だから、こんなことしてるのもあたしじゃない。 「レイナ」だから。 「奈央」じゃないから。 「ありがと」 ぱっとお金を受け取ると、あたしは足早にその場を去った。