「奈央は、ひとりでも大丈夫だよね?ちゃんとやってけるもんね?」

クリスマスイブの夜だった。

そう言ってあたしの母は蒸発した。
娘のあたしより、付き合っていたヒモのような男を選んだのだ。




(おかあさん…どこいくの?)


「じゃあね…」


そう言って去っていく母をあたしは黙って見送っていた。



見送るしかできなかった。


普通の子どもがするように泣き叫ぶこともしなかったのは、小さいながらにうすうす気付いていたからだと思う。







(なお、いつかおかあさんにステラレチャウのかもしれない…)