今もよく覚えてる。 マスターはあたしの顔をじっと見つめた。 なんだか今までをすべて見透かされそうで、だけど目をそらすこともできないでいた。 「うん、採用」 「え…っ」 「え、働きたいんでしょ?」 「は、はいっ」 拍子抜けした。 まだ名前も何も明かしてないのに、簡単に採用と言えるこの人が不思議だった。