女の人の言葉に、私と悠太は絶句して女の人を下から見上げていた。

 あの時私が感じた不吉な予感というのは、このことだったのだろう。

 この世界が終わるまで、後24時間?
そんなことは今まで考えたことはなかった。
この地球というものは、一生存在し続けるものだと、ずっと思っていた。

 そんな地球が、私たち人類が、全て…消えてなくなる。
私は女の人と冷静に話を進めた。

「…何故そんな事を?一体誰がこの地球を滅ぼそうというんです?誰がこの地球
を壊せるんですか?」
「それは…私の…女神の役目なのです。」
「女神…様?」

 この女の人は女神様だったのだ。
もしかしたら女神様は私たち生きるもの全てに残り24時間を有意義に過ごして
貰いたいと思い、このことを私と悠太に伝えたのではないか。
それにしたって、勝手過ぎる様な気がする。
戦争を起こしているのは他の国なのに、何故日本の私たちまで巻き込まれなけれ
ばならないのだろう。

 とにかく神を宥める事は出来ないだろうかと、私は女神様と話を続けてみた。

「女神様…本当にこの地球を滅亡させるおつもりなんですか?私たちを…消し去
るおつもりなんですか?何か私たちに、出来ることはないんですか?」

 すると女神様は思いも寄らない言葉を口にしてきた。

「もしも助かりたいというのなら…生贄を一人神に差し出しなさい。そうすれば
その生贄の命と引き換えに、この地球を消さないで置いて置きましょう。」