ピンポーン…


もう!
今帰ってきたばっかりやのに!


「誰!?」

勢いよくドアを開ける。



「え…南?」

思わず声に出してしまった。


突然の訪問者。
何の用事なんやろ…。


さっき佐恵子さんに会ったばっかりで少し後ろめたい。



「…怒ってんの?」

不意にそう聞かれた。


「へ…いや、別に。」

へらへらと笑った。



まじまじと南に見つめられる。


そして、私越しに後ろの廊下をみるなりこう言った。

「誰かいる?」

「おらへんで?どしたん?急に。ま、あがって。」



急いで部屋を片付けてお茶を入れた。


「で?何?」

こんな時間に何の用事?

「…悩み事。」


「南、何に悩んでんの?」

「違う。お前。」


ああ、私か…


って!

なんでそんな事聞くん!?




「な、な、な、何で!?」

動揺は隠しきれない。


「…泣いてた。」


今日の事か!

あれ、見られてたんや。



「あー…。見てたんや。」

「うん。」


頷く南をチラ見すると目が合う。

フイッと逸らされてしまったけど。



口数少ない啓が相談にのってくれるなんて変な話だ。

「てかさ!よくここを覚えてたなぁ。」


私はわざと話をそらした。今話したら泣いてしまう。

「覚えてたから。」



す、すごい!
10年以上も昔の話なのに。

「…。」


急に黙り出した南。