名も無き花

駅の改札をくぐった先の商店街

水谷さんと二人で歩く俺。これを至福の人時と言えなかったら男としてどうかと思うような状況。

相変わらず?並んで歩くときは水谷さんの腕が絡んでいる。
学内は痛い視線をたくさんもらってきつかったけど、これはこれでかなりきつい。

すれ違う女子高生の視線が気になる。すれ違うカップルの視線が気になる。
駐車場の警備の人の前を通るだけで心臓に負担がかかる。



チキンな俺には大変大冒険しっぱなしの、商店街約200メートル。



抜けた先には、歩道付きの大通り。後ろから来るチャリに鳴らされた。

へ、ひがみもいいところだぜ!!っていう、視線を送ってやる。

「ねー、昭ちゃん。さっきからなに機嫌悪そうな顔してるのぉ?」

勘が鋭いことで・・・。

「ぇ?いやほら、女のこと歩くの慣れなくて緊張してるんだよ!」

なんてチキンナ発言!やっちまったかんが脳内を支配する。
ネガティブな空気が上から降ってきて俺を包み込む。

きっと、周りから見ても明らかに色つきのオーラが出ているような感じに見えるに違いない。

「えー、昭ちゃんったら可愛いなー」

そういって、水谷さん、があいている方の手で俺の脇腹をつついてくる。
更に照れる。

どうしようもなく遊ばれている感があるのだが…。

これはこれで幸せだなぁとか、馬鹿な俺。