『それ』は、一言でいうなら『地面にはえている、小人』だろうか。

体の形からして女の子に見える。性別があるのか、はたまた生物なのかは微妙だが…。

『それ』は、照明に祝福されるかの様に、両手を胸の前に組んで目を閉じて月の方を向いていた。

今日は、満月が綺麗に輝く夜だった。

年頃の女の子をそのまま小さくしたかの様な外見には、思わず目を奪われてしまう。



…どれくらい、『それ』に魅入っているだろう?


風は止み、鳥も何処かへ飛んで行き、この空間だけ時間が止まった様に静まりかえっている。


聞こえるのは、自分の呼吸と心音くらいだ。

心を癒すわけでも、疲れを癒すそれとも違う感覚。



不思議と、このまま時間が止まれば良いなんて本気で思わせた。


『それ』との出会い。